日本における様々な業務形態
ここまでは、正規雇用と非正規雇用の違いはありますが、「労働者」になります。
労働者の場合会社の就業時間に合わせて働くのが基本です。
「何時から何時まで」と労働時間が決められており、休日の日数も定められています。
就業時間以降も働くことはありますが、その場合残業代が支払われることになります。
また、休日に出勤した際には休日手当というものが支払われるようになっています。
「労働基準法」などの労働法規の適用を受けます。
(最低賃金、労働時間、祝日・休日、有給、労災での補償などの規定で守られています)
雇用契約とは、労働者が相手方に使用されて労務の提供を行い、使用者が提供された労務に対して賃金を与える契約のことです。
雇用契約の場合、労働者は以下のような法律による保護を受けられます。
正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、待遇差を無くすのを目的としており、すでに施行されています。
しかしながら、労働法規や同一労働同一賃金のガイドラインはあくまで「労働者」にのみ適応されるものであり、
〝漫画家=フリーランス=業務委託(請負契約)=労働者ではない〟には適用されません。
漫画家のアシスタントはどうなるの?
雇用契約と業務委託契約の違い
雇用契約と業務委託契約の違いの1つが、使用従属性の有無です。
雇用契約の場合、労働者は雇用主からの命令や指示をある程度守って業務を遂行する必要があります。
しかし、業務委託契約では使用従属性がなく、成果を挙げるまでの仕事の進め方や仕事時間には特段の決まりがありません。
また業務委託契約は雇用契約とは違い、労働基準法や最低賃金法の保護を受けられない点も、両者の違いの1つだと言えるでしょう。
しかし以下のような実態があった場合には労働者性が認められ、労働基準法等の保護対象になることもあります。
・勤務時間や場所に関する拘束がある
・報酬が時間単位で算出されている
・職務に対する命令や指示を受けている
・発注者側の監督者によって、仕事への評価や指導を受けている
これを見ると、作家の家に通って行われている漫画家アシスタント業は、実質的に雇用契約相当にも拘らず、業務委託という形の偽装請負が横行している、と言えそうです…。
しかしながら、現実問題として、多くの漫画家には、しっかりと雇用契約を結べるだけの金銭的な余裕がありません…。
現場で手を動かしているクリエイター側に、低賃金、不安定な収入、長時間労働というシワ寄せが来て常態化しているのが現実です。
これも、出版社などの企業側が支払うべき原稿料(制作費)が安すぎるために引き起こされている漫画業界の、現在進行形の現状です。
参考
https://www.sharoushi-nagoya-hk.com/archives/7336
漫画家も区分されるフリーランスとは?
(組織と個人との力関係的に、フリーランス側が負担を強いられることが多いため、こういった法律で保護されています)
上記のようにフリーランスには労働基準法は適用されません。
労働基準法が適用されないと様々なリスクが発生する恐れがあります。
特に注意すべきなのは以下の2つです。
そのため、フリーランス側が出来る自衛手段としては、
具体的な法的な知識としては
つまり、発注者は相応のギャラを支払えば契約を途中で解除することが出来ます。これは請負人側から見ると途中で解除されても、最低限のギャラはもらえるという事です。
また、ここでいう損害には、「逸失利益も含まれます」。つまり仕事をした際に必要な材料費やギャラではなく、「その仕事が続いた場合に得られるはずだった利益」も損害に含まれます。
そのため、こういったケースでは「解除するなら3ヶ月前に予告してください」とか「3ヶ月分の費用を先に払ってください」というルールが裁判例を通して作られてきていています。
参考:https://goworkship.com/magazine/freelance-laws-9/
一口にフリーランスと言っても、様々なフリーランスが存在しますが、
クリエイティブ系のフリーランスは収入面や労働時間などにおいて、
こういった作業特性から、収入が不安定なだけでなく、さらに低収入・長時間労働という状態になりやすいという側面があります…。
労働基準法第9条には労働者の定義を「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」としています。つまり会社と雇用関係を結んでいないフリーランスは、「労働者」に該当しないということにされています。
しかし現実的には、クライアントとなる出版社などの企業からの発注と指示を受けて、業務を行っているフリーランスがほとんどだと思います。そうしないと報酬が得られませんからね…。
それにも関わらず、発注元の〝労働者〟のように労働法規に守られておらず、
劣悪な環境に置かれているクリエイティブ系フリーランスは多いです。
企業側が、請負契約で納品された成果物でビジネスをしている以上、
そこに全く〝同一労働同一賃金〟の考え方が及ばないという現状に、筆者は違和感を感じています。
今後への期待として、同一労働同一賃金の考え方が浸透していくことで、フリーランスの働き方も変わっていく事が期待されます。
例えば現在でも、フリーランスに支払われる報酬額に対し、業務ごとの最低基準額を設けることが検討されています。
また、独占禁止法によってフリーランスに対して不当に不利益となる契約が禁止されることも予定されています。
さらにフリーランスにとって不利な仕組みである現行の社会保険制度に関しても、是正の流れとなっているのです。
非正規雇用社員だけでなくフリーランスを含めた全ての人が、成果に見合った報酬を得ることができる時代に、少しでも早く変わってくれることを望みます。
※フリーランス(個人事業主)が親事業者と取引する上で、違法行為があった場合やトラブルが発生した場合、「下請けかけこみ寺(漫画で解説されています)」を活用しましょう。
下請かけこみ寺とは、中小企業庁が設置している、フリーランス(個人事業主)や中小企業が抱える取引上の問題をサポートするための相談窓口です。
参考・引用
https://freelance-start.com/articles/33
https://freelance-start.com/articles/405
https://freelance-start.com/articles/562